毎日新聞 2012年04月21日 東京朝刊
http://mainichi.jp/opinion/news/20120420ddm003040031000c.html
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核燃料サイクルをどうすべきか。東京電力福島第1原発事故を受け、見直しを議論してきた内閣府原子力委員会の小委員会が19日、処理方法ごとに 30年までにかかる総費用の試算を公表した。「脱原発」を含めた政策パターンごとに試算が示されるのは初めて。原発を続ける場合、使用済み核燃料を再処理 しつつ一部を地下に埋設する「直接処分」も併存する方式が最安とされ、国策である「全量再処理」が有利でないと示した。だが、政府内や電力会社には依然、 再処理への執着がにじむ。再処理を前提に使用済み核燃料を受け入れてきた青森県の反発も必至で、国策転換の壁は高い。
◇サイクル執着、見え隠れ
今回の特徴は、原発が稼働している場合で「併存方式」、20年までに原発ゼロを想定した場合で「全量直 接処分」がそれぞれ最安となり、直接処分に道を開く可能性がある点にある。一方で、全量直接処分の費用には再処理工場の廃止分など約5兆円が加算され、原 発ゼロとしない限り、全量直接処分は経済的に不利と片付けた。19日の小委員会で、委員の伴英幸・原子力資料情報室共同代表は「どのように計算したか、き ちんと見ないと妥当かどうか判断つかない。(政府内では)行き詰まった核燃料サイクルに依然、執着していることを示している」と問題提起した。(2)
「執着」はコスト以外の試算にも見られる。30年の原発比率を20%とした場合、再処理の方が全量直接
処分に比べ、ウラン燃料を15%節約できる上、国際的に所有規制されている分裂性プルトニウムの貯蔵量(約30トン)も30年以降少なくなると試算。再処
理に軍配を上げた。
政府や電力会社が再処理にこだわる理由の一つが、各原発の敷地にたまり続ける使用済み核燃料だ。19日 付で廃炉された東京電力福島第1原発4基を含む54基にある使用済み核燃料は計1万4200トン(昨年9月末現在)。再処理が停滞すると、「核のごみ」で 原発が止まりかねない。直接処分には、処分地探しという課題もある。
試算結果は実現可能性なども加味して、政府の「エネルギー・環境会議」がまとめる中長期戦略に反映され る。再処理路線は転換されるのか。05年に現在の原子力政策大綱を策定した際、コスト面では直接処分が再処理より約1割安いとしながら、総合評価で全量再 処理を踏襲した。
小委員会では、電力10社でつくる電気事業連合会の小田英紀・原子力部長は「地元(青森県)との尽力で 再処理施設の立地が進んだ。方針変更はこれを否定する」と再処理路線堅持を訴えた。座長の鈴木達治郎・原子力委員長代理も閉会後、「コストより使用済み核 燃料の貯蔵量や、政策変更に伴う地元自治体への影響の方がむしろ重要」と報道陣に強調した。【阿部周一】
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「私どもはごみ捨て場ではない。(使用済み核燃料が)資源として再利用されない場合は、発生元にお返しする」。東京電力福島第1原発事故を受け国が改定を進める原子力政策大綱の策定会議。昨年12月の会合で、委員の三村申吾知事はこう突きつけた。
青森県が「錦の御旗(みはた)」とするのが、施設受け入れに当たり、国や事業者と結んだ確約や覚書だ。 「青森県を最終処分場にしない」「再処理できなければ使用済み核燃料は速やかに施設外に搬出する」。94年以降、3代の知事がそれぞれ国と文書を交わし直 す念の入れようだ。
青森県幹部は政策転換に疑心暗鬼になっている。「最終処分場が決まらないまま、使用済み核燃料が県内に放置されるかもしれない。国策を支えてきた県民として耐えられない」
しかし、現状は使用済み核燃料が搬入される一方で再処理のめどは立っていない。
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政府や電力会社が再処理にこだわる理由の一つが、各原発の敷地にたまり続ける使用済み核燃料だ。19日 付で廃炉された東京電力福島第1原発4基を含む54基にある使用済み核燃料は計1万4200トン(昨年9月末現在)。再処理が停滞すると、「核のごみ」で 原発が止まりかねない。直接処分には、処分地探しという課題もある。
試算結果は実現可能性なども加味して、政府の「エネルギー・環境会議」がまとめる中長期戦略に反映され る。再処理路線は転換されるのか。05年に現在の原子力政策大綱を策定した際、コスト面では直接処分が再処理より約1割安いとしながら、総合評価で全量再 処理を踏襲した。
小委員会では、電力10社でつくる電気事業連合会の小田英紀・原子力部長は「地元(青森県)との尽力で 再処理施設の立地が進んだ。方針変更はこれを否定する」と再処理路線堅持を訴えた。座長の鈴木達治郎・原子力委員長代理も閉会後、「コストより使用済み核 燃料の貯蔵量や、政策変更に伴う地元自治体への影響の方がむしろ重要」と報道陣に強調した。【阿部周一】
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◇青森知事「ごみ捨て場ではない」 国策転換に疑心暗鬼
使用済み核燃料再処理工場など、数々の核燃料サイクル施設を抱える青森県。再処理から直接処分への政策転換は、「約束違反になる」と猛反発している。「私どもはごみ捨て場ではない。(使用済み核燃料が)資源として再利用されない場合は、発生元にお返しする」。東京電力福島第1原発事故を受け国が改定を進める原子力政策大綱の策定会議。昨年12月の会合で、委員の三村申吾知事はこう突きつけた。
青森県が「錦の御旗(みはた)」とするのが、施設受け入れに当たり、国や事業者と結んだ確約や覚書だ。 「青森県を最終処分場にしない」「再処理できなければ使用済み核燃料は速やかに施設外に搬出する」。94年以降、3代の知事がそれぞれ国と文書を交わし直 す念の入れようだ。
青森県幹部は政策転換に疑心暗鬼になっている。「最終処分場が決まらないまま、使用済み核燃料が県内に放置されるかもしれない。国策を支えてきた県民として耐えられない」
しかし、現状は使用済み核燃料が搬入される一方で再処理のめどは立っていない。
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同県六ケ所村に建設中の再処理工場は、高レベル放射性廃液を固化する試験で、溶融炉の出口が詰まるトラ
ブルが頻発。97年の予定だった完成は18回延期され、建設費は当初見込みの3倍、約2・2兆円に膨らんだ。今年1月、3年ぶりに試験を再開した直後にト
ラブルが発生。最新の10月完成という予定も絶望視されている。
再処理用の使用済み核燃料プールは4月現在、容量3000トンのうち2919トンが埋まり、ほぼ満杯。 工場が稼働しなければ、同県むつ市に建設中の中間貯蔵施設(13年10月完成予定、容量5000トン)に運び込まざるを得ない。だが、三村知事は3日の記 者会見で「再処理を前提にしなければ『中間貯蔵』とは言わない」と強調。再処理をやめることになれば同施設への受け入れも拒否する構えだ。【酒造唯】
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2030年に35% 9.7 9.1 11.5〜11.9
2030年に20% 8.3 8.1 10.3〜10.7
2020年に0% − − 6.7〜 7.1
※全量直接処分は以下の政策変更コスト約5兆円を含む
▽再処理施設の未償却費 1.78
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再処理用の使用済み核燃料プールは4月現在、容量3000トンのうち2919トンが埋まり、ほぼ満杯。 工場が稼働しなければ、同県むつ市に建設中の中間貯蔵施設(13年10月完成予定、容量5000トン)に運び込まざるを得ない。だが、三村知事は3日の記 者会見で「再処理を前提にしなければ『中間貯蔵』とは言わない」と強調。再処理をやめることになれば同施設への受け入れも拒否する構えだ。【酒造唯】
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◇2030年までにかかる使用済み核燃料の処理方法別コスト試算(単位・兆円)
原発比率 全量再処理 併存(一部直接処分) ※全量直接処分2030年に35% 9.7 9.1 11.5〜11.9
2030年に20% 8.3 8.1 10.3〜10.7
2020年に0% − − 6.7〜 7.1
※全量直接処分は以下の政策変更コスト約5兆円を含む
▽再処理施設の未償却費 1.78
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▽再処理工場などの廃止費用 1.85
▽直接処分とガラス固化処分の費用差 1.02
▽地元自治体への追加費用の可能性 0.39
▽直接処分とガラス固化処分の費用差 1.02
▽地元自治体への追加費用の可能性 0.39

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