毎日新聞 2012年07月12日 11時35分(最終更新 07月12日 11時58分)
http://mainichi.jp/select/news/20120712k0000e040215000c.html
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東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)を巡り、福島県からの避難者13人を含む6県132人が東電を相手に、全7基の運転差し止めを求め た訴訟の第1回口頭弁論が12日、新潟地裁(大竹優子裁判長)であった。東電は請求棄却を求める答弁書を出し、全面的に争う姿勢を示した。住民側が「人 災」と主張する東電福島第1原発事故も争点になるとみられる。
昨年3月の事故後、同社の原発稼働差し止めを求めた訴訟は初めてで、福島県からの避難者2人を含む原告 3人が意見陳述、「東電は古里を汚すだけ汚し、後始末もせずに原発を運転することなど絶対に許せない」「予測不能な被害をもたらす原発は建設すべきではな い。未来に負の遺産を先送りすることを認識すべきだ」などと東電批判が相次いだ。
訴状で住民側は「福島事故は人災」として、「(東電に)原発を運転、管理する資質と能力はない」と指摘 した。柏崎刈羽原発は、地盤のもろさなどから「極めて危険な場所に設置されている」と主張、再稼働阻止のため運転差し止めを求めている。弁護団は、事故被 害者の福島県民や東電管内の首都圏住民からも原告を募り、追加提訴する方針だ。
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柏崎刈羽原発は定期検査などで全7基が運転停止中だが、4月発表の東電の総合特別事業計画では13年度以降の再稼働を目指している。【塚本恒】
◇「声聞いて」 原告に避難者13人
「もう原発は動かしてほしくない。我々避難者の気持ちを届けたい」。訴訟には、福島第1原発事故で福島 県を追われた13人も原告に加わった。同県楢葉町から新潟市西区に避難した渡辺光明さん(59)もその一人で、法廷で仲間の意見陳述を見守った。提訴は自 分たちの責務だと渡辺さんは言う。「原発事故を経験した人にしか訴えられないことがある」。放射能汚染が広く長く続く事故が何をもたらすのか、避難者が一 番知っている。2年前に勤務先を退職、親から継いだ楢葉町の畑で夫婦で農業を始めた。「これからはスローライフだ、なんて言ってね」。トラクターを新調しタマネギの苗を植えたころ、事故が襲った。自宅も畑も警戒区域内で、帰郷のめどは立たない。
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妻と新潟市に逃れ、約4カ月の避難所生活を経て、借り上げ住宅に暮らす。市の臨時職員に就き、避難者同士の交流会も開いたが、1年4カ月を超える 避難生活が絆を断とうとしている。「警戒区域外であっても避難を巡って意見が食い違う。夫婦げんかもザラで、きれい事ばかりじゃないんだよ」と話す。
安住の地を奪われ、農業の夢を崩され、同じ県民が分断される。人生が丸ごと狂わされたつらさや嘆きを伝えたい。「これ以上この苦しみを生み出さないためには原発を止めるしかない。今度こそ東電は私たちの声を聞いてほしい」【塚本恒】
解説 再稼働是非巡る論議公開に意義
柏崎刈羽原発差し止め訴訟は、大震災と東電福島第1原発事故後に各地で起こされた原発訴訟で唯一、事故当事者である東電を相手としている。各種の事故調で原因追究が続く福島事故が「人災」か否かが争点の一つになる見通しだ。
国会の事故調査委員会は5日、福島事故は「明らかに『人災』」と断じる報告書を出した。住民側も東電の過酷事故対策のずさんさや事故後の対応の不手際などから「人災」と訴え、差し止めを求める主な根拠に据える。
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一方、東電は社内調査委員会の最終報告書で「想定を上回る津波」を原因に挙げ人災を否定している。訴訟でも同様の主張をするとみられ、福島事故の原因が実質的に法廷でも争われる見通しだ。
4月の提訴から初弁論までに、国内の商業用原発は5月5日に全50基が停止したが、反対運動の民意をく むことなく、今月1日には関西電力大飯原発3号機が再稼働した。柏崎刈羽の再稼働阻止を住民側が求める訴訟は、国が当事者にはなっていないが、公開の法廷 で再稼働の是非が論議される意義は大きい。【塚本恒】
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